「メタバースとは何か ネット上の「もう一つの世界」」を読みました。

毎日どこかで目にする「メタバース」というコトバ。50代になると、新しいモノに疎くなってしまいがちなこともあり、これではいけない、と思い立ち、新書版で軽く読めそうな「メタバースとは何か ネット上の「もう一つの世界」 (光文社新書 1179)」を読みました。

サクッと読めるので、オススメです!

新書なので、ボリュームもそこそこのうえ、著者である、岡嶋裕史さんのカジュアルな語り口もあり、読みやすい本でした。書籍内で紹介されていますが、映画「レディ・プレーヤー・ワン」をご覧になっていない方は、映画を見てから本を読むと、より分かりやすい、と思いました。実際に、私も映画を見てから読みました。「レディ・プレーヤー1」は、スピルバーグ監督の作品で、数多くの有名な映画のオマージュが入っていて、とても楽しい作品でした。私は公開時には見ていなかったのですが、映画そのものも楽しむことができました。私は「メタバース」の世界観のひとつを端的に感じることができると思いました。

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個人的に残ったこと。

① メタバース、といっても、いろいろある。

この本では「メタバースとは、現実とは少し異なる理で作られ、自分にとって都合のいい快適な世界」と定義しています。一方で、世の中では様々な定義の「メタバース」があるように、個人的に感じました。著者は、「仮想現実であるメタバース」と「現実志向であるミラーワールド」に分類しています。現実に似せて作られたミラーワールドは、デジタルツイン(=擬似現実)として扱っています。実際の街並みをデジタル空間で再現しようとする試みはデジタルツインであり、著者の定義するメタバースとは異なります。どちらが良いとか悪いとかではなく、議論の前提として、ここをハッキリさせておくことは大切だと感じました。著者が定義するメタバースであれば、現実離れしていて差し支えない、ということになるわけです。

② 自由には責任が伴う。自由と平等は食い合わせが悪い。

多様性が当たり前になる中で、考え方や生き方の選択肢は、自分が20代の頃に比べると、飛躍的に増えているように感じます。こうあるべきだ、とか、これが普通だ、といった考え方は、受け入れられなくなりつつあるうように思います。自由が増えた分、選択したコトに対して、自分自身が責任を取らなければならなくなります。選択する自由がない=他人に与えられたコトであれば、自分自身の責任は少なくなりますよね。また、自由になることによって、平等ではなくなります。自由に働く、稼ぐ、となると、結果の差が自ずと出てきてしまうのではないかと思います。自由であればあるほど、自分自身で判断して行動することになりますので、大変になる、ということだと思いました。

③ マッチングビジネス

デジタルを活用したサービスにおいて勝ち組になっているのは、マッチングビジネスではないかと、個人的に感じていました。UberやAirB、就職や婚活のアプリなどなど、これまで非常に手間がかかっていたり、難しかった、売り手と買い手のマッチングを簡単にできるようにしたサービスです。ヒトは誰でも損をしたくない=リスクを負いたくない、と思っています。スマホ上でカンタンにマッチングできれば、時間も労力もかかりません。SNSのコミュニティも同様ではないかと、著者は書いています。自分自身の考え方、趣味嗜好が合う方を、フィルターバブルのような形でまとめていると。確かに、多様化が進行すると、自分と異なる考え方が自然と増えることになります。それは、これまでにはなかった、もしくは、感じにくかった摩擦を生じさせることもあるのでしょう。だからこそ、同質、もしくは、近しいヒト同士で集まることになるのだと思いました。ツラい思いをあえてする必要はありませんので、それ自体は自然なことだとも感じました。

最後に。

この本の最終章は、GAFAMのメタバースへの取り組みについて書いてあります。それぞれの企業の強みや弱み、そこから今後どのようになっていくのかを推察しており、非常に興味深く感じました。ここまで個人的な感想をつらつらと書きました。繰り返しになりますが、新書でボリュームも限られていますし、話題の領域ですので、お時間が取れる方は読まれることをオススメします。