サラリーマンを長くやっていると、大小はともかくとして、失敗をします。
もちろん、成功もたくさんあります、笑。
最も大切なことは、失敗を繰り返さない、ことです。自分自身で体験できる
業務は限られてしまいますから、周りの失敗経験を知ることがとても大切だと
考えています。ただ、実際には、社内、社外ともに成功事例の紹介が大半です。それはそれで大切なのですが、ややもすると、単なる自慢のようになって
しまったり、第三者にとって再現性がないものになってしまいます。失敗したことを他人に話すのは辛い気持ちもありますが、失敗事例を積極的に共有する方が良いと個人的には考えています。
「失敗の本質 なぜ日本人は空気に左右されるのか? 日本軍の組織論的研究」を
読み、その想いを強くしました。表紙に紹介されていますが、破綻する組織の
5つの特徴がまとめられています。太平洋戦争時の日本軍について解説されて
いますが、前半は個別作戦の敗因を詳細にわたって研究しています。ここは
関心がない方はざっと読んでも差し支えないと思います。
後半は、日本軍が敗北した戦闘における要因を整理して、まとめています
ので、ここだけでも読んでいただくと良いと思います。
後半では、日米を対比して、各々の戦略志向の違いを明確にしています。
現在のビジネスにも通底する示唆が多く含まれています。特に、日本軍は
失敗した担当者に忖度してしまい、その事例を分析、改善策を探究、そして
そこからの気づきを横展開していないこと、また、成功例からもその要因を
抽出して、新しい戦略コンセプトに理論化できていないこと、情報を個人や
少数の人的ネットワークに留めてしまっていること、等は、今のビジネス
シーンでも似たようケースがあると感じました。また、日本はシングルループ
学習型であることからイノベーションが産まれにくい、という点についても
当てはまっているように感じました。
誰しも「成功パターン」から抜け出すのは難しいものです。ただ、成功時の
「ものの見方」や「手法の原型」である「戦略原型」から抜け出す勇気が
必要だと改めて思いました。
環境変化が激しい現代において、自分の戒めとしたいと思いました。